「MW」を全世界にばらまくため、次々と罪を重ねてゆく男と、それを阻止しようとする神父。
愛し合いながらも、彼らは闘わねばならない。
作者には珍しいピカレスク物が大迫力で描ききられる。
息子を誘拐され、身代金を持ってきた中年男が、誘拐犯にアジトへと連れ去られてゆく。
そこでは、中年男の息子はすでに殺されており、怒り心頭の中年男も殺害されてしまう。
誘拐犯の名は結城美知夫、そして殺された中年男は、銀行員である彼の客だったのだ。
その後、結城は教会へ立ち寄り懺悔をする。
彼の話を聞く神父の賀来は、結城とは古い仲であり、結城に悪行をやめさせようとしてはいるが、悪魔的な結城の魅力の前に屈服させられてしまう。
賀来は教会の司教に、15年前に沖ノ真船島で起きた出来事を告白する。
彼はかつて非行少年グループの一員としてその島に入り、島民へ暴行を働いていた。
そこで彼が、まだ幼い結城に出会ったその日、彼の仲間や島民たちは、某国が開発した「MW」という毒ガスの事故で死んでしまう。
賀来と結城は、洞窟内のアジトにいたため助かったのだ。
しかし幼なかった結城は、まだ残っていたMWに脳を犯され、良心のまったくない人間へと変わり果てていた。
賀来はそんな結城を救うため、神父となったのであった。
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