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古今東西の歴史もの、経済ネタ、健康ネタ、人生訓、ビジネス書、語学学習ものなどを気ままにご紹介します。 ベストセラーや話題の新刊というよりは、いつ読んでも役に立つ本、時流に関係なく面白く読める本をマイペースで取り上げられたらいいと思います。
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2010年08月08日
絶対貧困 世界最貧民の目線
ストリートチルドレンなどの路上生活者、スラム街の住人と接してきた著者自身の体験談を軸に、「世界リアル貧困学講義」という設定で展開されています。
内容は大きく、スラム編、路上生活編、売春編の3つから成り、豊富な写真と資料で講義チックに面白く読ませてくれます。もちろん悲惨な話も多いのですが、その悲惨さを強調するというよりも、なぜそうなっているのかという「しくみ」を教えてくれるところにポイントが置かれています。

このような構成にしたことによって、貧困にあえいでいる人を救わねばならないという単純なメッセージではなく、我々の「救ってあげるべきだ」という善意、たとえば国がストリートチルドレンを施設に入れて教育を施してやるべきだ、といった発想が、実はまったくリアリティがなく役に立たないことに気づかせてくれるのです。

最近あるアジアの国に行き、夕刻地元のレストランで夕食をとっていました。ひとりの行商のおばさんが近づき、籠にいっぱいに入れたおみやげグッズをどれか買ってくれないかというのです。こういったとき、日本人の発想では「こんな人をいちいち相手していたらキリがないし問題の解決にはならない。だから無視」というのが一般的な反応だそうです。
私は細い竹を編んでつくられたブックマークを1つ、買いました。日本円にして50円くらいでしょうか。とてもいい表情をしていたので少し話しかけてみたのですが、英語や日本語はまったく通じませんでした。おばさんはわずかに微笑むと去っていきました。

この本には物売りの話も出てくるのですが、物売りがどのようなビジネスなのか知って驚きました。どんなビジネスにも元締めがいるのですね。おそらく私が買ったブックマークからおばさんには、ほんのわずかなマージンしかなかったでしょう。ケチらずにもっと買ってあげれば良かったと思いました。
そして、物乞いというのも1つのビジネスモデルだということがこの本で理解できました。しかも収益性によってヒエラルキーがあり、収益力を高めるために人を意図的に身体障害者にしてしまうこともある(四肢切断など)、とんでもないビジネスです。それでもまだ物乞いの人たちは、マフィアに利用されている方がマシだというのが現実なのです。

貧困がヒューマニズムで片付く問題ではないこと。貧困が単なる経済的な問題ではなく、国家社会全体のメカニズムから起こっていること、一国の問題ではなく関連各国を巻き込んだ問題でもあることに気がつきます。
それにしても「最貧民」のひとたちを利用して儲けている人々の強欲さよ。地獄の沙汰もカネ次第ということばが、この本を読んでいる間ずっと頭の中に残っていました。

石井光太
光文社

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