2010年02月17日
無料化は疑問だらけ、高速道路政策の混迷

民主党の看板政策の一つである高速道路の段階的無料化が、今年6月にもスタートする。区間は全国の高速道路37路線、1626キロメートル。システム改修など所要の準備を経てから実施される。
今回の無料化に伴う財源は、2010年度予算案で計上されている1000億円。路線の選定に当たっては「渋滞や他の交通機関への影響などを勘案して」(国土交通省の馬淵澄夫副大臣)選んだという。
結果的に、東北地方で7路線327キロ、九州地方で6路線249キロが選ばれた一方、北陸3県は1路線。無料にすると、激しい渋滞が予想される都市部は有料のままだ。
「経済効果を年度末までに把握し、原則無料化に向けた次のステップにつなげていきたい」(馬淵副大臣)とするが、交通量の少ない地域でどれほどの効果が見込めるのか、疑問も湧く。
事態は一層複雑に
「原則無料化には反対。実施を見送るよう引き続き求めていく」(JR東日本)など、競合交通機関から反発の声も相次いでいる。
高速道路だけ税金で優遇するという交通手段間の不公平もさることながら、今回の税金による無料化には、受益と負担の原則を歪めるという根本的問題がある。
税金で道路建設に伴う借金返済を肩替わりすると、料金収入以上の道路建設が可能になる。ただでさえ財政規律の働きにくい道路建設が、一層野放図になる危険性がある。
民主党のマニフェストには、原則無料化実施に1・3兆円程度が必要と書かれているが、財政難の政府には重荷だ。6月メドの実施となったのは、7月に予定する参議院選挙への対策と勘ぐられても仕方がないだろう。
事態を一層複雑にするのが、昨年末に民主党が出した「高速道路の整備」の要望だ。税金で不採算の高速道路を建設する「新直轄事業」を廃止し、これに見合う額を国が高速道路会社に支援する案だが、旧日本道路公団の民営化前に戻るという指摘もある。ほかには、全国統一の料金設定などが盛り込まれている。
「民主党からその後説明もなく、大臣から詳しい指示もない」(国交省)ため、たとえば全国統一料金の具体的な内容は不明。ETC搭載車の土日祝日上限1000円割引を取りやめ、代わりに車種区分ごとの新料金を導入するようだが、「全国どこへ行ってもトラックは一律5000円となれば、フェリーはやっていけない」(フェリー業界)と懸念する声も上がる。
無料化が経済の混迷を深めないことを祈るばかりだ。(東洋経済)










