2009年05月04日
「天通のその後」

大人しい静かな犬だと思いこんでいたので驚いていると、夫が「可哀相に。町で他の犬にいじめられたんだろう。」と言うのです。でも、こんな風に我が家の犬達とも吠えあったら困るなあ・・・と不安が増しました。
けれども天通には事情がわかるのか、我が家に着いたら決して吠えませんでした。そして怖がることもなく、車から降りました。
ぎょっとしたのは我が家の犬達でしょう。臆病な伏姫は悲鳴の様に吠えまくって近づこうとしませんでした。パクも一瞬身構えましたが、相手が雌で、しかも戦意が全くないので、用心しながらも挨拶に行きました。らくうは案の定、完全無視でした。
伏姫が落ち着くには一日かかりましたが、元々が平和主義の犬。喧嘩したり意地悪したりはなく、不安は杞憂に終わりました。
こうして天通はのうじょう真人の大切な仲間となりました。
それでもやはり天通は不安なのか、体力も無いのに、私達が農場を歩くとどこまでも必ず付いてきます。そして私達が家に入ると、入り口を見つめて座って見ています。
今はまだ、少量の柔らかい食事を何回にも分けてやっていますが、その食べ方に飢餓の辛さを感じて涙が出ます。
こんなに辛い思いをしたのに、それでも人間が好きで、車が好きで、荷台を開けて荷物を下ろそうとするだけで乗ろうとするのです。
この先、天通が体力を回復したら、彼女がどうしたいのかは分かりません。何時までもここを自分の家だと思って、安心して私達と暮らしてくれたら嬉しいです。
私はただ天通に「あの時、私を信じてくれてありがとう。」という気持ちだけです。私を信じて付いてきてくれた尊い命に、ただただ「ありがとう」と感謝するだけです。自分の命を預け、私を信じて付いてきてくれたその信頼を決して裏切ってはいけないと思っています。


