2008年08月19日
「子供に伝えたい事」
私には子供はいません。当然子育ての経験もありません。ですから、子供にもその親御さんにも偉そうな事は何も言うことは出来ません。
でも、時々「????」と思うことはあります。
友人の子がまだ5歳くらいの時でしたが、外でポテトチップスの袋を持ち、歩き周りながら食べていました。
「○ちゃん、歩きながら物を食べてはいけないんだよ。」と私にしては優しい声で言ったつもりですが、やっぱり無視されました。
その時はお母さんが側に居ることだし、まあ私が口出しする事じゃあないか、と思い直しました。暫くすると、パリパリ音がするのでその子の方を見ると、お菓子を地面に捨てて、靴で踏んで遊び始めたのです。
「そんな事しちゃあダメじゃない!」
私は思わずきつい声で注意してしまいました。彼女は親からも、ましてや他人からもそんな風にきつく言われた事が無かったらしく、「はっ」として動きが止まりました。
「あのね、食べ物を足で踏んだり、遊んだりしちゃあいけないんだよ。」
私の言葉が終わらない内にお母さんが飛んできました。そして「可哀相に。○ちゃんはそれがいけない事なんて知らなかったのよね。」と彼女を抱きしめたのです。
私は一瞬あっけに取られ、直ぐに余計なお節介をしたんだと気付きました。そのお母さんはいつも私に「私は子供を甘やかしたりしないで、きちんとしつけている。」と言っているのです。だから食べ物を土足で踏みつけることがいけない事だと言うのは、教えられなくても普段の生活の中で自然に身についているものだと、思わず大きな声で注意してしまったのです。
もともと私は、小さい子を見て思わず駆け寄って、話しかけてしまう様な子供好きでもありませんし、子供のご機嫌を取ることも苦手です。それに私は子育ての経験も無く苦労も知らないのだから、余計な口出しはすべきでは無いのだとその時思いました。
それ以来私は子供に注意する事は無くなりました。
ところが、最近ラジオの子供向け自然保護番組を何気なく聞いていて、“はっ”と気付いたのです。世の中には「してはいけません」が溢れて居ることに。
「木を伐ってはいけません。」「ゴミを捨ててはいけません。」「川を汚してはいけません。」
一見するとそれは当然の事です。でもそうやって「いけません」を押しつけるより、「木を植えましょう。」「種を播きましょう。」「ゴミを拾いましょう。」「自然と友達になりましょう。」と訴える方が、ずっと大切な事ではないかと。
親に恨まれるから子供に何も言わないは間違いでした。でも、「いけません」と言うのはいけないことです。
もしお菓子を踏みつけて遊ぶ子がいたら、こんどは「お菓子は食べようね。遊ぶのは石にしようね。」と言って見るつもりです。

2008年08月11日
「雪」
私の育った愛知県刈谷市は山が無く、滅多に雪が降りませんでした。ごく稀に雪が積もると、もう嬉しくて夢中で雪だるまを作ったり、雪合戦をしたりして遊びました。
豪雪地方の方には申し訳ありませんが、私は降る雪を見るのが大好きでした。
道東での酪農実習や札幌での寮生活で、北国の雪の厳しさを体験しましたが、それでも雪が好きな気持ちは変わりませんでした。
パタゴニアに暮らし始めても、その気持ちは変わりません。
私の住む地区は冬は雪よりも雨が良く降ります。それでも毎年数日間は雪になりました。
周りの景色がすっかり変わり、音も無くしーんとした中をサクサクと雪を踏みしめて歩く私達の足音だけが響き、犬達が大はしゃぎして走り回る。そんな中、サラサラと絶え間なく降り続く雪の中を歩くのはとても幸せで楽しい時間でした。
二週間停電が続いた年も、車が雪道を登れず一ヶ月町に行けなかった年も、屋根に積もった雪の重みが心配で雪下ろしをした年もありました。不便でしたが、面白いと思う気持ちの方がずっと大きかったです。
ところがここパタゴニアも「地球温暖化」とは無縁ではなく、ここ数年は雪の降る日が殆どなくなりました。特に今年は暖冬で、アンデスの山にも雪が無く、スキー場は開店休業状態が続き、観光業で成り立っている町は大打撃でした。景気が悪いと治安も悪くなり暮らしにくくなりますが、私はそれ以上にこれからの水不足とそれに伴う山火事が心配でした。
「きっと・・もうすぐ・・・」
という淡い期待も裏切られ、真冬の7月が暖かく乾いたままで終わってしまいました。
ところが、7月最後の日の夜、思いがけず雪が降り出したのです。一晩降り続いた雪は、翌朝辺りを雪景色に変えてくれました。久しぶりに見た雪景色です。雪の重みで木の枝が下がり、散歩道を雪のトンネルに変えていました。
ざくざく、きゅきゅっと足の下で鳴る雪の音も心地よく、犬達も童心に返って走り回っています。猫の「福」さえ雪の上を飛ぶように私について来ます。
「ああ、やっとパタゴニアの冬がやってきた。」
と心が弾みました。
この雪が続かない事も、直ぐに天気が回復して雪を溶かしてしまうことも、何となく分かっていました。この程度では、水不足が解消するとも思えませんでした。
それでも、神様が下さった雪という素敵な贈り物です。私は汗をかくまで歩き回って、雪を感じ、雪の音を楽しみました。