2009年08月12日
「お久しぶりの“のうじょう真人物語”について」

あの当時メールは無く、連絡手段は手紙でした。手紙でこちらの様子を書いて送くると3週間かかって届きます。友達が急いで返事を書いても受け取るのはやはり3週間後。その返事を書いて送ってまた3週間・・・と、今から考えるととてものんびりしたやり取りでした。
そんな手紙のやり取りの中で、自分のパタゴニアでの生活を、どうしたら分かりやすく伝える事が出来るかなあ?と思い、考えついたのが物語を書くと言う方法でした。
本当にあったこと、その中で自分が感じたこと、感動したこと、悲しかったことなどを照れずに素直に伝えるには、物語として少し距離を置いて書けばいいかも?と思ったのです。
そして正人くんという架空の男の子を主人公にして、彼を通して自分の暮らしや思いをノートに書いていきました。一冊のノートが一杯になると友達に送って読んでもらっていました。つまり最初は一人の友人の為にだけ書いていたのです。
一年の暮らしを書いて終わった時、ノートは5冊ほどになっていました。彼女は「凄く面白かった。でもこのノートは大切な物だから返します。」とわざわざ返送してきてくれました。
これで少しは私の暮らしや気持ちが伝わったかな?と思っていたら、見知らぬ人達から「とても面白い、そして考えさせられる物語でした。」と感想の手紙を頂いたのです。友人が500枚近いページ数をコピーしてみんなに読んでもらっていたのです。
思わぬ事でしたが、とても嬉しかったです。
数年後サイトを立ち上げた時、スペースが余っていたのでこの物語を少し設定は変えましたが、ほとんどそのまま連載する事にしました。そして昨年の9月まで書き続けていたのです。
ところが・・・書いている内に、たった10年の間に変わってしまったことが多すぎて、その変化が嬉しいことよりも悲しいことの方が多くて、書き続けられなくなってしまったのです。
この物語を書いた頃の正人君の生き生きした暮らしが、たった10年で“懐かしい”物に変わってしまった事に改めて気付き、とても辛くなったのです。
けれども最近、それは間違いではないかと思いました。昔は懐かしいものです。辛いことも乗り越えたからこそ、良い思い出として残っているのです。変わってしまった事を嘆き悲しむより、今ある素晴らしいことに目を向けて行くべきだと。
そうすると、今がとても魅力のある楽しい暮らしに変わりました。問題や嫌な事、希望の持てないような事も沢山あります。でもそれをどう解決していくか?どう気持ちを切り替えて楽しい事に変えるか?と思える自分が嬉しいのです。
そう言うわけで、中途半端だった物語も「終わり」まで、きちんと書くことにしました。内容は10年前の暮らしがベースですから、今とは事情が違います。もしこちらに実際に来られた時「なーんだ!物語と随分違うじゃない。」とガッカリなさいません様に。
そして何時か、10年後の大人になった正人君をのうじょう真人に招待して、新しい物語を始めたいと思っています。


