
ノーベル物理学賞の受賞が決定した益川敏英京都大名誉教授(68)はこの日午前6時40分すぎ、京都市左京区の自宅を出て、タクシーで京都産業大(京都市北区)へ。到着後「よく眠れたか」という報道陣の問いには、「僕はだいたい4時間寝れば大丈夫だけど、今日はいつもと違うね」と話した。
未明の帰宅となった前夜。「受賞はそれほどうれしいことではない」とまで語った益川教授に、妻の明子さん(65)は「素直じゃないね」と水を向けた。「ひねくれてるんやろうね。でも、科学者としては実験の成功が一番うれしいんやもん」と苦笑いする益川教授に、明子さんは「それが素直じゃないのよ」と笑顔でたたみかけた。
8日の会見も前夜と同様「ノーベル賞を喜べば絵になるんだろうけど、終わった話。今さらという感じ」とあくまで冷静。「科学者ではなく、社会人としての益川、小林に関する出来事が起きていると認識している」と笑顔で繰り返した。
しかし、同時受賞が決まった南部陽一郎・米シカゴ大名誉教授(87)について尋ねられると表情が一変。「大学院に入って、南部先生の論文をしゃぶりつくし。それが後の私の研究の基礎になった」と感極まった様子で言葉に詰まり、ハンカチを出して涙をぬぐった。「南部先生は偉大な物理学者で、仰ぎ見ながら成長してきた。先生とご一緒に受賞できたことは最大の喜びです」
ただ、報道陣に涙の理由を改めて尋ねられると「老人性涙腺軟弱症です」とユーモアたっぷりに切り返し、「涙が出てきたのは覚えているけど、どういう局面だったか忘れた」ととぼけてみせた。
大の英語嫌い。明子さんによると、海外渡航歴は一度もなく、パスポートさえ持っていないが、12月10日の授賞式については「出ないとしようがないでしょ」と話した。
「僕は先生に恵まれていた。オーケストラの素晴らしい仲間がいた。そういう人たちがいたからこそ」−。文化勲章の受章が決まった小澤征爾さん(73)は、若いころ師事した斎藤秀雄、カラヤン、バーンスタイン、そして自らが指揮するオーケストラのメンバーへの感謝を表した。
ウィーン国立歌劇場の音楽監督として日本に滞在、ベートーベンのオペラ「フィデリオ」を26日に指揮したばかりだ。同日は100回目の日本公演に当たり、終演後、たる酒で乾杯。「オペラの後でこんなことは初めて」とほほ笑んだ。
2006年に帯状疱疹(ほうしん)が悪化して長期休養したが、「気を付ければ大丈夫。迷惑を掛けないようにしたい」。毎年開く小澤征爾音楽塾などの教育活動も「自分にとって大事になってきている。効果があると、ますますはまります」と力を込めた。